昔日の思い


友人親子と一緒に呉市の大和ミュージアムへ行ってきた
会場へ入ってすぐの場所に置かれている10分の1スケールの戦艦大和を前に
娘は「男のロマンだね!」と感嘆の声を上げて写真を撮る



その後、展示品を細かく見て回ったが
「ここまで魅せられるとは思わなかった」というのが正直な感想だ
春休みということもあり、親子連れもたくさん訪れて
みんな熱心に見学しているのが印象的だった

今回思ったこと、というか、改めて思わされたのは
わたしが生まれたのは昭和36年で
戦争が終ってからまだ16年しか経っていなかったというのに
物心つくころまでには日本は急速に復興発展していったので
気がつけば戦争というものに対する意識はすでに「昔話」だったということだ
そして
その急速な復興発展に寄与した科学技術の原点がここにはあった

かつて「沈まない戦艦」を目指して建造された戦艦大和
そこに注がれる技術者たちの研究者魂
国を守るための兵器は
すなわち自分たちの大切な人を守るためのものでもあった
戦時下を「生きる」ために培われてきた技術が
やがて次世代が「生きる」ために受け継がれていく
「生きる」ことは永遠の課題
どんな時代であっても、境遇にあっても
人のベクトルはいつも生きる方向へ向いていかなくてはならない
それが、平和になったこの時代に
自殺者が年間3万人もいるというのは悲しい事実だ
また
展示室の中には『宇宙戦艦ヤマト』の部屋もあり
作者松本零士氏の以下のような言葉が掲げてあった
”人間は生きるために生まれてきた。死ぬために生まれたのではない”

戦艦大和が建造された「呉海軍工廠」では
わたしの父も学徒動員で働いていたことがあるらしい
その生活環境は劣悪なものであったと今回の展示の中には記されていたが
父からは一度も当時の話を聞いたことはなかった
そういえば父も昔話をほとんどしない人だった

昭和2年生まれの父は戦後自分の進路を決める際
「船に乗る」ことも夢みていたという
船と隣り合わせの学徒動員時代の思い出は
決していいものではなかったであろうに
それでも乗りたいと思うのは
船に余程ロマンを感じていたのかもしれない



(2008.4.4.記)


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