コンプレックスと向き合う 7

<ゴキとの闘争>


極度のゴキブリ恐怖症を自負(?)する息子は
夏が近づくと自発的にゴキブリ対策をはじめる
彼にとってゴキブリは
生涯慣れることも見て見ぬふりをすることもできないであろう天敵だ
とにかくイチにも二にも駆除あるのみ
そして、できればその姿を見ずしての撲滅を目指そうと
数種類の殺虫スプレーを買ってきた

息子いわく
「なぜゴキブリの殺虫剤にはゴキブリの絵が描いてあるのだろうか?!」
「殺虫剤はゴキブリが嫌いな人が買うのに、コレは実に酷だ」
「その点、この『ゴキブリフ☆キ○ーダブルジェットは素晴らしい!」
そして、何の絵もない金色のスプレー缶を自慢げに見せる

そうそう!これはわたしも以前から思っていたのだ
ホームセンターの園芸部門へ行くと色んな種類の殺虫剤がずらっと並んでいて
そのほとんどに気色の悪い絵が描いてある
これは見ることも、ましてや手に取るのもおぞましい
容器のデザイナーさんたちには使用者のこの辺の心理をよく考慮していただきたいものだ
無地の容器だったら、特に息子みたいな人間は高くても必ず買う

というわけで、強力な武器を取り揃えた息子は
やおら部屋の大掃除をはじめ
窓にも網戸にもエアコンにも、そしてタンスの裏にも念入りに薬剤をふりかけた
それはもう自らが薬剤アレルギーを起こすんじゃないかというほどの使用量で
それでもゴキブリを見るよりはマシ!という気合いがなんだか物悲しい、、
実は、この少し前に息子の部屋にゴキブリが出没したことがあって
まだいるのではないかという恐怖心があったのだ

その日、夜遅くバイトから帰ってきた息子は
部屋に電気をつけるなり敵を発見!
急いで自分で駆除・・・ではなく、妹の部屋に駆け込んだ
以下、娘の証言により兄妹のやりとりを再現

兄「大変だ!ゴキブリが出た!!」
妹「あっそう(それがどーした)」
兄「退治しないと・・・」
妹「お母さんに頼んだら?」
兄「もう寝てるし・・・」
妹「じゃあお父さんに頼めば?」
兄「いや、ここは自分たちでナントカしないと」
妹「自分”たち”って、、、(なによそれ?!)」

呆れつつも腰を上げる妹
すると、兄の部屋からゴキがふらふらと出てきた!
逃げる兄、戦う妹
かくしてゴキは妹の手で仕留められましたとさ
めでたし、めでたし・・・(?!)

最近の息子はゴキとの戦い方について研究すべく
ネットで検索しては新情報を収集しているようだが
実際にゴキを飼育しながら実験をしているサイトも熱心に見ているというので
どうやら彼はゴキブリの画像は大丈夫なのか??
息子いわく「だって画面から出てくるわけないし」
そりゃあそうだけど、そんなのわざわざ見るのは気持ち悪いじゃん〜〜@@;
それに、スプレー缶のゴキの絵だって出てくるわけないのにそれはどうなのだろう?!

とまあ、ツッコミどころ満載の息子のゴキとの「闘争」
でもまだ「逃走」じゃないだけマシだろうか
息子も自分なりに何とかしようと頑張っているのは確かだ
そして、そんな兄の様子を妹は「ちょっと可愛い」と思っている^^
というのも、彼らがまだ幼かった頃には親がとても忙しくて
兄が妹のために雑誌の付録を作ったり、新しい遊びを考えて一緒に遊んだりと
妹としては「随分お世話になった」との思いがあるらしい
一体どの程度お世話をしたのか親にはよくわからないのだが
あの時代、きっとお互いの存在が支えとなっていたのだろう
だから今でも二人は結構仲がいい

人間誰しも弱点があるものだが
それを素直に出すのはプライドも傷つくし、勇気もいる
ましてや頭を下げなくてはならないとなればなおのこと
でも、それがあっさりできれば案外誰も馬鹿にしたりはしないものだ
これを体得しているとコンプレックスと向き合うのはかなり楽になる

                                   
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つややかなミニザクロ
あっさりとした風情と清涼感がある
zakuro2008807.jpg



(2008.8.7.記)


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