コンプレックスと向き合う 11

<愛はあるか 2>


娘の夏休みも残すところ一週間あまり
バイトの忙しさも一段落して、そろそろ宿題でも・・(おそいっ?!)というわけで
書いたばかりの読書感想文(正確には図書推薦文)を持って見せにきた
400字という限られた中で、思いがちゃんと伝わるかどうか気になるようだ
実は、昨年の校内読書感想文コンクールでは優秀賞を頂いたので
今年もこれには力を入れたいと思っているらしい

「勉強ではコレしかないからね」と笑いながら言う娘は文章を書くことを得意としている
小さい時から半端ないほどの本を読んできたせいか
わたしが書く文章よりも使う語彙が豊富で、言い回しがしゃれているなと思うが
自分なりに納得して書いたものでも、そのたびにやはり人の評価が気になるものだ

まあわたしなんかは自分の文章にあるのは”真実と勢い”だけだと思っているので
文章の格調高さからは程遠い世界なのだが
せめて誤字脱字だけは気をつけて、その中にわたしなりの”愛”があればいいなあと思う

人からの評価を期待するのは、誰でも愛されたいという気持ちがあるからだが
ただ誉められたいと思う一心でとる行動には、しばしば真実の愛が欠けている
愛は決して媚びるものではない
だが、評価を期待する時には、いつの間にか人に媚びていることに注意しなくてはならないだろう

コンクールと名のつくものにおいては、その評価を下すのは人間だ
つまりはその人の気に入るか気に入らないかで評価は分かれ
初めから気に入るように書けばある程度の評価が得られるかもしれない
だが、それは自分の心にある本当の愛ではない

”人から真の愛を得たいなら、自分も真の愛を提供すべきだ”
それがわたしが常にモットーとしているところだし
娘にもそういうスタンスで活動して欲しいと願っている
そして、すでに娘もその方向性で自分の道を模索していることが書くものから伝わってくるので
「そのままでいいよ」と背中を押した

さて、文章を書くことの他に、娘が好きなことといえば絵を描くこと
習った経験はないが、いつの頃からか鉛筆デッサンを得意とするようになった
わたしとしては、自分の育てたバラの絵をいつか娘が描いてくれたらという夢があったのだけど
残念ながらどうも娘は花の絵を描くのが好きではないらしい

文章においても、好きなことを好きなように書くことで自分を表現してきたのと同様に
絵もまた好きなものを好きなように描くことが最も自然なこと
そして、今、最も娘が描く情熱を注いでいる対象物はロボットだ
人間は描かない、、というか、興味がない
「人間を愛してないのかな」と言って苦笑する娘の言葉の裏には
「人間は面倒な生き物だ」との真意が見える
だが、それ以前にロボット趣味は、こりゃあわたしの影響だなと思った
実はわたしはかなりのロボ好き
趣味はロックに格闘技に今度はロボットかと
ますます乙女チック度数は限りなくマイナスまっしぐらなので今まで書かなかったが
最近娘が学校で描いたというロボの絵を見て
思わずロボ話で盛り上がってしまったのでもういいかと、、^^;

娘の好きなトランスフォーマーのバンブルビー(部分画)
車が変形する超生命体ロボットで意思を持つ
これは描きはじめ
robo1.jpg

だいぶできたが、まだ未完成
robo1-3.jpg

こちらは真ゲッターロボ
娘いわく「もっと絵を動かしたいなあ」
三機合体ロボットの元祖ゲッターシリーズの魅力は情熱と躍動感だ
robo2.jpg

映画の一場面を見ながらシャーペン一本で輪郭をとり
細部まで描き込んでいく様子を見ていると
ここまで技術を磨いてこれたのは、やはり愛だなと思う
意思を持つという設定のロボットを生きているように描きたい
単にその姿をトレースするのではなく
自分の手で描くことで
湧き上がる躍動感を持った自分の理想とするロボットを描きたいのだ

ところで
娘がこうして今の時期にロボ画に打ち込んでいるのには理由がある
実は月末にはじめて声楽のコンクールに参加することになっているのだが
課題曲がネックになって上手く練習が進んでいないのだ
通常出るはずの高いファの音が思うように出せない
自由曲の高い音はソなのに、こちらは難なく出る
この差はどこから来るのかと言えば
自由曲は得意のイタリア歌曲ですでに歌いなれた曲だが
課題曲は苦手の日本語であること(日本人なのに?!)
つまり、ああダメ〜という気持ちの問題が大きいようだ

今回の選曲はどちらの曲調も哀愁漂うタイプで
しかも課題曲の方が更に悲壮感が強い
だが、わたしはむしろこれを武器にすべきだと思っている
それは、こういう曲はいかにその中に心を込められるかが課題となると思うからだ

コンクールとは、その技量を人と比べられるものだが
歌に対する愛を問われる試練の場でもある
果たしてどこまでその心を注ぎ出だせるのか
それはちょうど絵を描くことにも似て
ロボ画を描きながら
改めて自分の心と向き合う作業を進めている状況だ

usuzumi2008818-2.jpg

2005年以来
まともな花を見たことのない「薄墨」に花が咲いた
小さな夏の花ながら、色形は美しい本来の「薄墨」の姿だ
以前は枯らす一方だったバラが、今年は随分復活している
何か流れが変った
そんな実感が嬉しい



(2008.8.19.記)


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