青春讃歌 18〜自分を知る、自分が変わる


christmascake20091218a.jpg
一週間前
娘の選択しているフードデザインの授業で
クリスマスケーキのデコレーション試験(?)が行われた
それぞれが考えたデザインで制限時間内に飾り付けるのだが
クリームの絞り出しが上手くできない娘は
評価を上げるにはデザイン性でアピールするしかないと
まずはココアパウダーでツリーを描き粉砂糖で雪を表現した
星はホワイトチョコレートを溶かして成形
ボーロや、粒型&星型のアラザン等を使ってツリーを飾る
最後にブルーベリーと
ブルーベリーシロップに漬けて色のトーンを落としたチェリー
そして小さな飾り物をつけて完成〜

娘によれば
「イチゴを使ってない唯一のケーキだった」とのことで
見方によってはかなり地味だけど
なかなか大人っぽいシックな仕上がりになったと思う

この日は、夕食後から教会のクリスマス準備が始まり
学校での作品を完成させてほっとする間もなく
娘はタルト生地つくりにとりかかった
そして翌日はケーキつくり本番で、その次はクリスマス本番
でもって、翌日からまだ2日間は学校があり
やっと冬休みに入った23日と24日は大学での説明会&講習会にでかけるというハードな日々
そして今日からはゆっくりお休み・・・ではなく、郵便局のアルバイトがスタートと
なんとまあ忙しい毎日ながらも
一番気にしていた大学での講習会が無事終ったことで
とりあえず安心し、本人とても元気そうだ
不調が続いた耳の方も今は落ち着いているらしいし
受験〜アルバイトの問題〜大学生活へ向けての不安などが少しずつ解消していくことで
ストレスも少なくなっているのだろう

若い間の苦労は、身体的な苦労はかなり無理ができるものだが
あせりや不安感などの精神的な苦労になると
人生経験が少ない分、気持ちの切り替えが難しい
中学校までは地元の公立校で昔なじみの友達と共に育ってきた娘は
高校生になったとたんクラスに知り合いがひとりもいない環境におかれた時
自分の身の振り方について随分悩んでいたようだ
多くの子どもたちがそうであるように
新しい環境で友達関係を築いていくにはそれなりに苦労が伴う
幼い頃の娘は誰とでも簡単に友達になるような子で
特に気負うことなくいくらでも友達ができそうに思っていたが
年齢が上がるごとにその様子は違ってきていた

「小さい頃はどこでも誰とでもすぐ友達になってたのにね」
と、わたしが言うと、娘は苦笑いしながら答えた
「あの頃はバカだったのよ、、」

幼い頃には、人というものはみんな自分が基準で、誰もが自分と同じ考えや価値観を持ち
すべての思いを共有できると思い込んでいるものだ
これを”純粋”と表現する反面
世の中には色んな人が居ることを知らないという意味では”無知=バカ”とも表現するわけで
かつて娘はその無知のために人と関わりすぎ、痛い目にもあってきた
そして、それはすべてが相手に問題があるのではなく
人には”相性”というものがあって
単純に自分と合わないだけの人もあるということを学ぶに至ったのだ
そもそも自分のキャラクターそのものもかなり濃いと思われていて
あまり変人度を全開にすると周りが引いてしまうだろう
また、目立つことをすれば反感を買う場合もあるだろうし
かといって、全くの別人を装うのも不自然だ
まずは自分の性格をよく知った上で
正直な自分の姿をどこまでさらしていくのか
それは時によっては”自分を捨てる”ほどの勇気を必要としたが
ありがたいことに周りからは好意的に受け止められ
結果として楽しい高校生活を送ることができたのは幸いなことだ
かくして娘は高校生活を通して
”時間と場所と場合=TPO”をわきまえた自分の表現方法と
自分の格好良さにしがみつかない生き方を学び
これからは更に全く知り合いが居ない大学へと踏み出していくことになる

今回の講習会で娘が最も気にしていたのは
勉強のことよりも同級生となる人々とのはじめての出会いだった
すべては最初が肝心だ
「今回は自分から声をかける」と決めていた娘は
最初の日から2人と知り合いになり
次の日にはその輪は更に広がった
誰もがみんな不安で友達を求めている
食堂で一緒に昼食を食べながら
共通の話題である音楽のことやそれぞれの高校生活のことを話すうち
ひとりひとりの雰囲気も性格も何となくつかめてくる
ここで早めに自分を出しておいたほうが
”類は友を呼ぶ”の言葉通り、やがて同類がにおいをかぎつけて集まってきやすい

今回の講習会においては
楽典のテストや授業、ピアノの個別レッスンも行われ
これから音大で勉強するにあたって
とりあえず自分の今の力がどの程度のものか把握することもできた
すでに入学までにこなしておくべき課題も出されたし
レッスンを受ける先生も決まった

時の流れは止まることなく
不安と安堵を繰り返しながら
あっという間に入学式がきそうな感じだ
次に今回新しくできた友人たちと会うのは3月末
入学式直前のオリエンテーションキャンプの時になる
その時には一般入試組のメンバーも加わって友達の輪も広がっていくだろう

学生時代には
一定の年数が経てば否応なくその環境は変わっていき
それに伴って周りをとりまくメンバーも入れ替わっていく
仲のよかった友達も学校がわかれてしまえば疎遠になっていくが
自分と同類の友人とは
いつか年をとって再会してもだいたいが同類のままだ
そしてその時、改めて自分がどういう人間であるのかを再認識する

残り少なくなった高校生活の日々を数えながら
娘はその別れを惜しんでいる
また、同時に新しい環境へ踏み出すことにも
すでにある程度の安心感を得た今でも大きな不安が残る
自分を理解してくれた人々と離れ
新たに自分をアピールするにはエネルギーが要るが
どんな場所にあっても順応していける人間であるために
自ら楽しくやっていこうとする気構えと努力は必須だ

3年間、コンビニでアルバイトを続けてきた息子は
このクリスマス週間には恒例のサンタの衣装を着てレジに立ったが
今回は赤い帽子の上にトナカイの角までつけていたらしい
これは単なるシャレで
お店に入ってきた人の反応を見るのが結構面白いのだという
この受け狙いの試みには、小さな子どもの中には泣き出す子もいて
どうやら赤い帽子+ツノで赤鬼を連想させるのではないかと息子は推測している

こうして今は平気でサンタの衣装も着る息子だが
最初の年はこれを着るのをとても嫌がっていたのを思い出す
若いからこそ何でもできるようで
若いからこその恥ずかしさもあるものだ
それでも仕方なくやっていたら、そのうち面白くなった
そういうことって人生には結構ある

たくさんのことを学んだここでのアルバイトだが
いろいろ考えた結果、春にはやめて
今後は勉強に重点を置く生活にシフトしようとしているらしい
4年生になれば卒論実験と大学院の入試もある
色んなことを器用にこなす息子ながら
あれもこれも上手くやれるほどの技量は持ち合わせていないことは
誰よりも自分自身が知っている

今年も残り少なくなったけれど
新しい年はそれぞれにとって新境地に踏み出す区切りの年となりそうだ
自分と正直に向き合ってきた年月は必ず財産となり
まだ見ぬ新しい自分に成長する後押しをしてくれることだろう



(2009.12.25.記)



<管理人のひとりごと目次へ


inserted by FC2 system