青春讃歌 9〜雨のち晴れ


娘が念願のストレートヘアを手に入れ
嬉々として夏休みを迎えて10日あまりが経った
終業式の日には、ワープロ検定の合格証書ももらって帰り
さあこれからは声楽コンクールに向けて集中しなくちゃ!と
いつものように張り切ってレッスンに出かけたが
レッスン後の娘はすっかりしょげていた、、、
というのも
伴奏をしてくださる予定だった先生が
コンクールの日にどうしても都合が悪くて参加できないとのことで
代わりの伴奏者を探さなくてはならなくなったからだ

これまでずっと先生に頼りきりで
完璧な伴奏の元で安心して歌ってきた娘にとって
これは実に由々しき問題
今回のコンクールは高校生が対象だからこれが最後のチャンスだと思うと
どうしても悔いのない演奏がしたい
そのためには息のあった伴奏者が必要不可欠だ
しかも、今回はかなり難易度の高い曲を選んでおり、伴奏も難しい

どうなるんだろう・・・と娘は涙をぽろぽろこぼして動揺しつつ
それでも先生も代わりの伴奏者を探してくださっているし
学校の先生に電話をしたら
「こちらでも当たってみるから、絶対にコンクールは出なくちゃダメよ」と励まされたし
とにかく落ち込んでいる場合ではないから、自分でも誰かいないか探してみようと
気を取り直して動き出した

ところが、この伴奏者探し騒動は、翌日あっさりと解決することとなる
歌のピアノ伴奏を専門的にやってらっしゃる方が、ちょうどコンクールの日はあいているとの事で
快く請け負ってくださったのだ
もう感謝するやらホッとするやらで
昨日の落胆が嘘のように、娘もすっかり元気を取り戻したかに見えたのだが、、、

せっかく頼れる伴奏者が見つかったというのに
今度は娘自身の練習が上手くいっていないようだ
というか、何か乗り気じゃないというのか・・・とにかくイライラしていて様子が変?!
これはもしかしてまたストレスで持病の『耳菅狭窄症』が悪化しているのではないかと思い
翌日耳鼻科に行かせることにした

そう、耳鼻科に行かせたのは大正解!
なんと『突発性難聴』になっていたのだ@@;
娘の場合、持病の関係で
一時的に聴こえが悪かったり耳鳴りがしたりすることには慣れているため
コンクールの練習でもなければ
どうせ今回もそれだろうと、そのまま放置するところだった
放置時間が長いほど完治しにくくなるという突発性難聴は
主にストレスによる血行不良から起こると言われているが
元々ストレスをためやすい性格&5歳の頃から肩こり+冷え性の娘にとって
この病気が発症するのは不思議じゃないのかもしれない

というわけで
とりあえず治療も進んで、今は聴力も回復してきており
さあ心機一転、練習に励むのかと思ったら、、、
あれれ、やっぱりまだ何か変だ?!

ここでいよいよやる気の出ない真の原因が見えてきた
その正体はズバリ『ダメダメ病』だ
夏休みは各種コンクールが多く
音楽や美術の芸術系仲間は、現在コンクールや受験準備のために四苦八苦している
顔を合わせれば合言葉のようにみんな「ダメだぁ〜」と嘆き
メールの内容も落ち込んだものばかりで
みんなで一緒にドツボにハマっている状態らしい

一緒に嘆いている間はいいけれど
ひとりになればそれぞれの現実が待っている
自分の目標には自分で立ち向かうしかないという現実から逃げることはできないし
こんなところで同病相憐れんで立ち止まっている場合ではないだろう

「こんな状況におちいっている者にはどうすればいいと思う?」
と、娘と同年代の息子だったらどう考えるだろうかと聞いてみたら
答えは実にあっさりしたものだった
「決まってるじゃない、尻をたたくんだよ」

あ、いや、本当にお尻をたたくというんじゃなくて^^;
つまりは叱咤激励するというわけだが
特に不安症を抱えているような者には
誰かがバーンと背中を押さなくては前へ進めない時もある

「この道で行くと決めたんだったら
自分でちゃんと考えて環境整えていくように努力するもんだろう」
「どうすれば自分の理想に近づけるか、いつもそればっかり考えるんだよ」
とまあ、息子自らが現在いかにパソコン環境を最先端に近づけるかという
半分勉強半分趣味(いや、ほとんど趣味か?!)のために尽力していることを例に力説してくれたのだが
結局、仕事であれ勉強であれ趣味であれ
「やる時はやる!」という姿勢は重要だ

かくして、”お尻をたたかれた”娘は
その日から気持ちを切り替えて練習を始めた
不思議なもので、気持ちがちょっと切り替わるだけで練習も上手くいくようになる
「今度みんなにあったら、ダメダメ言ってないで頑張ろうよ!って言うわ」
そうそう、誰かが突破口を開かないと、一緒に落ち込んでいたのでは本当にダメだからね

今日は伴奏の先生のお宅に行ってはじめてレッスンを受けたが
そこで2時間みっちり練習し、たくさんのことを学んで帰ってきた
複数の音楽家に触れることで、より多くのことを学ぶことができる
「わたしの知っていることは全部教えてあげるから」と
そう言ってもらえる先生との新たな出会いがあったのも
元はといえば、涙の伴奏者探し騒動があったからだ
「雨のち晴れ」
ゆれる心模様は
しばしばお天気に例えられる

これからも娘は音楽を通じて色んな人に出会っていくだろう
そのたびに、躊躇したり、心配したり、どうせ色々あるに違いない
それでも、出会う人はみんなきっと娘に必要なものを与えてくれるはずだ
今回の件で、娘自身それを確信したことと思う

*****

長雨に耐えて咲くスベリヒユ
しかも、同じ株から色の違う花が咲くというおまけつき

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(2009.8.3.記)



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