青春讃歌 11〜”小さな花を”


娘の夏休みは今日で終わり
明日からはまた学校が始まる
娘自身「今までで一番充実感のある夏休み」と語るこの休み最後のイベント(?)は
教会堂〜玄関〜応接間〜廊下〜階段のじゅうたん掃除
本当は息子が休みに入ってすぐ、8月の初めに行う予定だったが
今年は天候不順で、カラッと晴れた日が少なく
結局ここまでずれ込んだ
2〜3日前から涼しい秋風も吹いて、作業するにはちょうどいい
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水を噴射しながら吸い取るじゅうたん掃除用の掃除機を使って
たまった汚れを洗い流した後は
濡れたじゅうたんも夕方までには秋風がきれいに乾かしてくれた
う〜ん、さらさらの足ざわりが気持ちいい〜♪

さて、娘にとって夏休み最大のイベントである高校生声楽コンクールも23日に行われ
その日まで山あり谷ありの中の調整が続いた後
無事に参加できたこと、そして「今の自分の精一杯の歌が歌えた」と
本人に悔いが残らなかったのは良かった
もちろん入賞できれば言うことはないけれど
例年5人程度選ばれる入賞者の数が今年は2人と非常に少なくて
期待していた参加者たちは肩すかしにあう反面
3位以降の評価がわからないまま終わったことは
かえって各人に夢を残してくれる結果となったかもしれない

当日になって体調不良で参加できなかった人もあれば
緊張で実力が出せていないであろう人もある
決められた日に悔いのない演奏ができるよう調整することがどんなに難しいか
悲喜こもごもの当日の様子を見ながらつくづく考えさせられる

特に耳の病気を抱えた娘にとって
聞こえの状態は日々異なり
伴奏の音と自分の声が良く聞こえなくて
音が外れているのでは?と、あせる事もしばしばある
難聴の人が音楽を学ぶ際には
ピアノの下へ入って、音を体で感じて覚える練習方法があるらしいが
今回は娘も何度もピアノをたたきながら、音を自分の体に響かせる練習をしていた
しかし正直なところ、練習も面倒だし(←ココ強調^^;)
一時はもう全部やめてしまってもいいのではないかとも考えたようだ
親に似て、元々コツコツ型の勤勉な性格ではなく
好きなことなら一生懸命やるタイプで
「好き」という条件が支えのすべてだが
その「好き」をおおいつくすほどの不安と
失敗したくないとのプライドから気持ちはどんどん逃げ腰になっていく
娘が生れてから18年も付き合っている親には
その心模様は手に取るようにわかった
また、そこですべてやめてしまったら必ず後悔することもわかる
まだやれるだけのことをやっていないのに
言い訳して逃げている娘は
本番2日前、もう一度"お尻をたたかれる"羽目になった

それからの2日間は
苦手箇所を中心に練習すると共に
途中で放置していた夏休みの宿題を一気に仕上げることに費やされた
「いや〜、面白いほどの勢いで宿題が片付いたわ〜」と
気持ちよさそうに話すその顔は晴れ晴れしている
結局本番当日はその宿題を仕上げた集中力でのぞみ
自分としても「今の自分の精一杯の歌が歌えた」と思えたわけだ

参加者全員が歌い終わった後の審査員総評では
「声を作って歌わないこと」との指摘があった
昨年も
「人のまねをしないで自分の声で自分の歌を歌うように」
と、似たようなことが言われていたが
”自分の持っているものを生かす”のは案外難しいことなのだろう
そもそも自分が何を持っているのかさえまだはっきりとはわからない年頃だ
表向きの派手さや格好良さにも目を奪われ
つい人の真似もしたくなる

今回は、参加者全員に審査員の個別評が渡されたが
その中で
「声がきれい、声量もある」「クセのないいい声をしている」
と評されていたのが娘にとっては非常に嬉しかった
それはまさに総評で指摘されていた問題点を一応クリアしているということであり
無理のない発声方法による練習を今まで地道に積み重ねてきた成果
上辺だけでなく内面からの基礎を育ててもらったおかげだろう
そして
その土台の上に今後は色んな技を練っていけばいいということだ
今後の課題としては
「イタリア語の発音の勉強」「立ち位置や曲想の研究」といったものがあげられていたが
これらはまだまだ今から勉強すれば進歩するだろう

当日まで娘の色々な葛藤を見てきたわたしは
とりあえず娘がマトモに歌えるかどうかが心配だったけれど
舞台に立った姿は昨年とは見違えるほどに堂々としていて
ここまでいくつか場数も踏んで、成長したなあと安堵した
今回歌った自由曲は
オペラ『友人フリッツ』から”Son Pochi Fiori (小さな花を)”という不思議な感じのする美しい曲
審査員評でも「難しい曲をよく歌いました」と書いてもらったが
全体的に落ち着いて、さらっときれいに歌えていたと思う
(まあ、さらっとしすぎていたところが今後の課題だが・・)

残念なことといえば
コンクール会場には録音撮影機材持ち込み禁止なので
せっかく一生懸命歌ってもそれが記録に残せないことだ
次回の発表会では、ぜひともドレス姿でこの曲を歌ってほしいなあと
娘にリクエストしておいた

かくして
コンクールであたふたし、アルバイトで汗を流す一方で
友人たちと映画や食事に行ったり
そして、最後は気持ちよく宿題もすませて
高校生活最後の夏休みは無事に終了した

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ミニザクロに小さな花が咲き
それがやがて結実する
小さくともひとつずつ、灯りがともるように
ぽつりぽつりと着実に増えていく
その姿にはこの木の持ち味が十分現れているようだ

自分の持ち味を知り
あせらず
比べず
少しずつ前へ進む
青春時代の課題は
これに尽きる


"Son Pochi Fiori"はこちらで試聴できます↓
『Son Pochi Fiori - Mascagni - Jane Edgren, Soprano』



(2009.8.25.記)



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