青春讃歌第二幕 3〜自分を磨く


去るゴールデンウイーク初日の”昭和の日”
祭日なのに授業のある娘はその日も学校へ行ったが
休みはカレンダー通りの息子は早朝から夫を車 で空港まで送っていき
父親の乗った飛行機が飛び立つまでデッキで見送ったようだ

今でもできることならパイロットになりたいと言う 息子は
こうしてただ飛行機の離着陸を眺めるだけでもとっても楽しいらしい
で、4日後にはついでにお迎えも行ってくれたのだが
夜は 展望デッキが7時に閉まるということで
8時前に到着する父の乗った便は見ることができず残念がっていた

幼い頃には、いつも空港へ は一時間以上前から迎えに行くのが常で
いつまでもあきずに滑走路を見つめる息子につきあったものだ
あれから年月は流れ
乗り物好き の息子は大学生になるとすぐに車の免許を取得し
この春休みには憧れだった自動二輪の免許も取った
四輪の時と同様に、二輪も補習なしの一発 合格という器用さは
やはり父親譲りなのだろう

4月からは念願の車通学を始めたが
本来なら高速道路を使う位の長距離ながら
現 在はお金のことを考えて
一般道路を色々変えては走る試行錯誤の日々が続いている
朝のラッシュは大変だけど
ガソリン代のみなら電 車&バスで行くよりは安くつくとのこと
まあこれで、いずれ実験で帰りが遅くなっても電車がなくなる心配をしなくてすむ
入学当初は4年に なったらさすがに下宿しないと無理なんじゃないかと思っていたが
自宅通学で通せたらやっぱりこれが一番安上がり
おまけに早起きが得意な年 寄り体質(?)なので(毎朝5時から起きている)
もう大学院までこの調子で行きそうだ

新しい研究室での生活も一ヶ月が経過し、そ こにも随分慣れてきた
最初はちょっと新入生のように緊張気味だったが
この研究室は
“教授(教官)を先生と呼んではならない”との 掟があるなど
何やらはじめから面白そうな雰囲気で始まった
ちなみになぜ先生と呼ばせないかというと
4年生ともなれば、すでに基礎 勉強をクリアしてきているので
同室の院生や教官と対等に意見を言える立場として認められるのだそうだ
研究の世界は年功序列じゃないという わけだが
なんかそういうのって多分アメリカっぽいやり方なのかなと
そして、きっと息子にとってもここでの生活は楽しくなりそうだなと安堵 する

その他には、実は教授がバイク乗りだったり
給湯室にはなぜかガンダムのプラモデルが並んでいたり
「で、バイクはいつ 買うの?」とあおられたり
でも、「研究用にはパソコンはMacがいい」と薦められ
結局また新しいパソコンを買うことになって
今は たちまちパソコン熱が再燃している
そして、資金を確保するため昼食代を節約しようと
はじめてお弁当を作って持っていくようにもなった
ご 飯は例の“昆布だし&サラダ油少々入りのかために炊いたもの”を入れ
これに更にふりかけをかけたり海苔をつけたり色々アレンジ
わたしが作 るとすぐに野菜とか入れたがるのを知っているので
自分で作るからと言って譲らない
はいはいどうぞ好きにやってくださいませ〜

今 年2月、研究室選びをするにあたって
息子にはすでにここへ来たいとの希望があった
それは研究内容に興味があったのは言うまでもないが
何 よりひかれたのは教授の人柄だった
息子によれば「ちょっと強面で厳しそうだけど奥が深くて面白い人
あ〜そうそう、うちのお父さんみたいな タイプね〜」とのこと
仕事だけの人じゃなくて
色んな趣味を持った幅の広い人は面白い
面白い人のそばには面白い人が集まるから
自 ずとそこは楽しい空間になる
案の定、同級生も自分を含めて変わった面子が集まった

考えてみれば、息子にとって、新しい環境を選ぶ ポイントは
いつもそこに居る指導者との相性にあった
高校時代に通っていた塾の先生は
昼間は開業医として働き、夜は数学の塾講師に 変身する変わった人だ
自らが塾の経営者であり
最近はローカル番組でコメンテーターもやっているという実に多芸多才な人
気さくで偉 そうな感じが全然なくて
常に面白いことを求めてきょろきょろしているような
いわゆる永遠の少年みたいなタイプ
こういう人は人間的 にも魅力的だから
そこには自然と魅力的な講師が集まり
塾は大いに繁盛しているらしい

通常、魅力的な人を見つけると
自 分もそういう人に近づきたいと思うようになる
近くにいて、その人のもっと深い魅力に触れるためには
自分自身も魅力的になる努力をして
た くさん話ができる関係になっていくことが重要だ
こうして人は自然と自分磨きをするようになる
自分の持っている魅力をもっと引き出せるよう に
興味の向くまま色んなことにチャレンジして
自分の中にいっぱい謎の扉や興味深い引き出しを作っていくと
それが自分の奥深さにつ ながっていく

最近の就職面接では
「学生時代に何をしてきたのか」と問われることが多いと聞く
成績がよければ即就職が決ま るという時代ではなくなった今
社会が求めているのは、ずばり魅力的な人だ
だから、魅力的な人になるために今まで何をしてきたのかが問われ るのだろう

大学4年生の多くが就職活動真っ最中のこの頃
息子を含めて同じ研究室のメンバーは全員進学希望なので就活はしていない けれど
これからの3年間で、これまでの3年間とはまた違った経験をたくさん積んで
魅惑の扉を増やしていくと良いと思う

*****



小 さな小さなスイートピー
『キングトト』が咲いた

青い花は実に魅力的だが
植える場所によっては他の植物にまぎれて目 立たなくなるので
なるべく目立ちやすい場所を選んで植えつけた

個々の花の魅力が引き立つことを常に念頭において 作業するのは
ガーデナーの努め

ちなみに、この花は
”エジプトのトト王の墓から種が見つかった”との噂があるよう だ
王様の名前を頂いているなら
名前負けしないようになおさら立派に演出したい


(2010.5.5.記)



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