青春讃歌第二幕 7〜さまざまな支え


7月末
初めての定期試験をどきどきしながら無事に乗り切った娘は
8月10日の成績発表以降
のんびりと夏休みを迎えるはずだった・・・が
8月末の第3回オープンキャンパスにおける公開レッスンへの再出演が決まったため
急遽新たな課題曲と格闘することになった

たくさん練習を積むことはもちろん大切なことだけど
『一度の本番は100回の練習に勝る』
と、子ども時代からの先生にも教わってきた
だから忙しいなあとは思いつつ
これは素晴らしいチャンスなのだと自分に言い聞かせる
それに、何せ人一倍練習が嫌いなのだから
こういうことでもないときっとだらだら過ごしてしまうだろうし(笑)

というわけで8月は
自宅練習と、学校でのレッスンと、アルバイトで過ぎて行く
その間に、高校時代の友人たちとの集まりに参加すること2回
(これが唯一夏休みらしいことかな)
そして、週に一度、整形外科へリハビリにも行っている

娘は元々腰骨がかなりそり気味で
仰向けで寝ることが難しい
小さい頃からよく奇妙な格好で寝ており
しばしば背中をこらせていた
成長期を過ぎ、気づいたのは両足のヒザの高さが違うこと
そのうちひどい腰痛に悩まされるようになってきた

これはきっと骨盤がかなり歪んでいるのだろうと
今年初めから骨盤体操を一緒にやってみたものの
かなり痛いらしく、なかなか思うように続かない
で、こういうことを中途半端に素人がやるよりも
一度ちゃんと整形外科で診てもらった方が良いということになったわけだ

そして、初めて腰のレントゲンを撮ったところ
脊椎間がかなり狭窄している様子が写し出されたものだから
これは椎間板ヘルニアの可能性が高いと
即MRI検査行きを命じられた

椎間板ヘルニアといえば
夫が19歳の時から抱えてきた病気
若い時に手術したものの、その後もずっと腰痛や足のしびれとは縁が切れず
40歳になった頃からやっと状態が落ち着いてはきたが
それと同様の苦労が娘にも及ぶとなれば由々しき事態だ

それでも覚悟を決めてMRI検査に行き
後日診断結果を聞きに行くと
不思議なことに、ヘルニアがないばかりか、脊椎間の狭窄もなかった
レントゲンでは確かに狭窄していたのに
なんてありがたいことなんだろう〜〜(感謝!)

こうして、当初予想された辛い事態は免れ
とりあえず、内側の腹筋と背筋をバランスよくつけるべくリハビリが始まった
練習嫌いの娘は、運動を続けることも苦手だから
強制的に運動させられる環境にあるのはいい

あちこちで良い方向へと引っ張ってもらいながら
やがて迎えたオープンキャンパスの日
今回は初めてわたしも公開レッスンを見学に行かせてもらった
一体どんなレッスンをしているのか一度でいいから見てみたかったのだ

娘から「レッスンの内容はいつも呼吸法が中心」とは聞いていたが
実際に見学してみて
こんな地味なことをやっているのかと少し意外だった

椅子に座って前かがみになり
息を吸って、横隔膜が下がるように意識して息をお腹にためる
前で実際に娘がやっている姿を見ながらわたしもこっそり真似してみるが
(周りの人たちもやっていたが)
わたしではどうも上手くいかない
というか、これで横隔膜が下がっているのかどうかもよくわからないわけで、、^^;

この『ベルカント唱法』という呼吸法をマスターすると
どんな姿勢でも楽に大きな美しい声で歌えるらしい
その前かがみの姿勢のまま娘が歌いだすと
本当に立って歌う時と変わらない声なのには驚いた

普通、歌は立って前を向いて歌うことが多いが
オペラになると、すわったり、あるいは寝転がってでも
同じ声の調子で歌い続けなくてはならない
それをベルカント唱法は可能にしてくれる
でも、これを完全に体得するまでの練習のなんと地味なこと・・・
これはよほど歌うことが好きじゃないと続けられないだろうなあと思ったが
娘自身はその練習を別に苦に思っている様子はなく
どうやら素直に受け入れているようだ
大学に入り、先生が変わると同時に指導法が変わっても
ちゃんと先生を信頼してついて行っている
それが実感できただけでも見に行った甲斐があったというもの

それにしても
色んな分野で努力している人々の日常は
華やかな表舞台とは裏腹に
どんなにか地味な訓練の繰り返しなのだろうと改めて思わされる
何はともあれ、好きじゃないとやってられない

今回は、いつも娘の歌の伴奏をしてくれるピアノ専攻の友達にも会うことができた
自分自身のレッスンも忙しい中
「勉強になるから」といつも快く伴奏を引き受けてくれる彼女とは
すでに気の合う友達同士の信頼関係ができている
声楽の世界には、歌い手を支えてくれる伴奏者の存在が不可欠だ
伴奏者としてはまだ駆け出しだという彼女と共に
2週間後には、一段階ランクアップした後期レッスンがスタートする

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こぼれ種のマルバルコウソウ

ちょうどアーチの下から生えてきたので
しっかりした支えを得てするする伸びている


(2010.9.4.記)



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