山のお庭訪問3〜自然の恵みと厳しさと


夕食後、結局お天気は回復することなく
天文台の屋根をあけて星を見ることはできなかったので
お風呂に入った後
娘は二階の部屋で早めに休ませてもらい
わたしはまたYOKOさんとバラ談義
その間、ポウは階段でじっと話が終わるのを待っている
いつもYOKOさんのそばで寝ているポウは
今夜YOKOさんがどこで寝るのか気にしているらしい
本当に人間の子どものような猫
こんなに可愛い気質の猫は見たことがない

「明日は晴れて朝日が見れたらいいんだけど・・」
寝る前にYOKOさんは言っていたけれど
翌朝5時過ぎに目を覚まして外をのぞくと
あたりはまだ暗く、空は曇っているようだった
でも雨は降っていないし
ところどころで雲が切れている
「もしかすると・・・」と期待しながら
空が明るくなるのを待って
5時40分にカメラを持って外に出た・・が
残念ながら日の出を見ることはできなかった

室内より


記念撮影〜


敷地から眺めた風景(下に見えるのは栗畑)


どこを向いても美しい自然が広がっている


その後、空はだんだん晴れてきてやがてお日さまも顔を出す
そうなると
ここは標高600メートル、そして空気が澄んでいる分紫外線が強く
日差しは想像以上にきつくなった


今回、YOKOさんがぜひ見せたいと言ってくれた
自慢の夕日と星空と朝日はどれも見ることはできず
自然とは人間の希望通りに動かないものだと思う一方
山の雨と風の音、またどこまでも澄んだ空気
そして照りつける厳しい日差しを味わいながら
自然の持つ様々な恩恵と厳しさをしみじみ感じる
自然には四季折々の色んな顔があって
どんな季節であってもその一部を肌で感じることができるものだ
別の顔に会うのはまたきっと別の機会があるとして・・^^

「この土地は頂上で傾斜地だからとても乾燥していて
特に今年のような気候だと植物も大変なの」
そんな話を聞いて
山といえば、昼は多少暑くても夜はちゃんと気温も下がり
おまけに夜露も降りれば植物にはバッチリいい環境だろうと
勝手に山の利点ばかりを想像してうらやんでいたわたしの考えが
どんなに浅いものだったかと恥ずかしく思う

今回、バラを中心とした無農薬栽培についても随分話したが
その夢を実現しようとわたしたちがそれぞれやってきた試みは
すべて自然が与えてくれる恵みの上に成り立つもので
単純に人間の都合よくいくものではないことに思わずため息も出る

「山には鳥はいっぱいいるけれど
それらが都合よくどの木からもまんべんなく虫を食べてくれるわけじゃないし・・」
そう、それはわたしの庭でも言える事
アブラムシを食べてくれるテントウムシも
びっしりアブラムシだらけになっているバラを通り過ぎて別のバラについていたりする
「ほらほらこっちにいっぱいエサがあるよって言っても彼らには通じないしね〜^^;」

8年前、YOKOさんと出会った頃のわたしは
化学農薬に代わって病虫害を予防してくれるといううたい文句の「植物から抽出した資材」を購入したり
酢などを利用した手作りの資材をいっぱいバラにまいていた
それらの”自然のもの”がきっとわたしに味方してくれると期待しながら・・・
でも、どれもいまいち効いた気がしなかった
YOKOさんもまた一時期いろいろまいていたが
結局早い時期にやめてしまったのは
「あれこれまいてもバラが気持ち悪いだろうと思って」とのこと
ああそれはよくわかる
でも、今でこそわたしもバラサイドからの要求を知ろうとするが
こちらから自然を、バラを、都合よく動かそうとする考え方は
失敗を重ねるまではなかなか変わらなかった

またYOKOさんの場合は
バラに対して色々やってみたいことはあっても
あまりにも時間がなさ過ぎるという現実もある
それはYOKOさん自身にとってはもどかしいことだが
結果的にはそれが幸いした部分もあると思う
というのも、プロの栽培家ほど管理方法は案外シンプルなものらしいし
わたしも回り道しながら結局どんどんシンプルな方へと導かれつつあるところだ

「実際に中国に行ってみて
チャイナローズを育てるのが難しい理由がわかったの
もう全然環境が違う
バラ友のみなさんにいただいたバラや草花も
なかなか上手く育たないものもあって心苦しいけど
これからまわりの木が大きくなれば木陰もできるし
状況は変わっていくかもしれない
でも、最終的に育つものを育てていくしかないのかなって・・・」
そう語るYOKOさんの言葉は
そのままわたしの心情でもあり
多くのガーデナーに共通する思いだろう

山の庭であれ、町の庭であれ
みんな自然の恵みも厳しさも受けながら
時々となりの芝生は青く見えるけれど
庭がそれぞれにふさわしい姿に生長するよう
気持ちの切り替えも含めて
努力していかなくちゃねと思うのだった


(2010.9.10.記)



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