青春賛歌第二幕 15〜いつか何かできるように


東日本大震災発生以来、被災地の窮状をTVで見るにつけ
衣食住に何ら不自由していない被災地圏外の人々の間には
「自分にも何かできないだろうか」との焦りにも似た感情が一気に広がる一方で
これまでの経験から
「今できること」「今すべきではないこと」についての冷静な分析も進んでいるが
その結果、とりあえず今は募金以外何もしないことが無難というところに落ち着いているようだ
現地のことは、それぞれの分野のプロにまかせて
それ以外の人々は、せめてその人たちが働く妨げにならないように気をつける
わたしたちが日ごろから「善行」だと思っていることでも
それが「迷惑」になることもあるのだと
学校でも教わらなかった「配慮」を学ぶに至っている

今、圏外の人にできることといえば、募金のほかは献血だろうかと言われているが
今すぐに押しかけて献血ルームを混乱させる事態は避けなくてはならないので
娘はもう少し落ち着いた頃にはじめての献血に行ってみようと考えているらしい

わたしが初めて献血したのはちょうど娘と同じ19歳の時
その日は大学に献血車が来たので、友人たちと一緒に行ったが
そのうち何人かは低血圧や比重不足で献血ができなかった
どちらもクリアしたわたしは無事に採血してもらい
その後も、献血車が来ればできるだけ行くようにしていたけれど
献血手帳の記録によれば、わたしが最後に献血したのは10年前と
もう随分昔のことになってしまった
それは、その頃から子宮筋腫が大きくなって貧血気味になり
献血に行っても断られるようになったからなのだが
先月の検診によれば筋腫のほうも萎縮してきているようなので
そろそろ献血も再開できるのではないかと思う

わたしがこうして献血のことをずっと気にかけているのは
その昔、父が白血病のために新鮮血輸血を必要としていた際
わたしも父と同じA型だからと勇んで病院へ行ったのに
まだ年齢が15歳だったためダメ出しされてしまったことに端を発している
あの時はわたしができなくても、他にたくさんの協力者がいて
それでも父は助からなかったけれど、みんなの善意が嬉しかった
そして、わたし自身にはいつか父にもらった分は返したいという思いが生まれた
そういう思いというのは決して一時的に燃えるようなものではなく
ずっと自分の中でくすぶり続けている感じ
だから、自分自身無理するつもりもないし、人に強要しようとも思わないが
献血年齢制限の上限69歳まであと20年、できれば続けたいものだと思う

今回、若い人たちが「自分にできるのは募金と献血くらい」と言っているのを聞くと
募金はともかく、献血は誰にでもできるわけではないことを知って
もし献血したいなら、自分自身が健康であるように気をつけて欲しいと思う
特にダイエットをしているような人は比重が足らない可能性が高い
「人」を大切に思うなら、自分も「人」、自分のことも大切に

また、誰かの役に立ちたいと思っても、もし自分が「今なにもできない」ならば
そのことでがっかりするのではなく
学生であれば今自分に与えられている勉強の機会を
「いつか何かできるようになる」ための準備期間として
研鑽(けんさん)を積むのが大切なこと

若い時は情熱にあふれ、どこか遠くに自分の活躍の場を見出そうとすることもある
しかし、その生涯を通して貧しい人々のためにつくしたマザー・テレサが
「世界平和のためにわたしたちができること」について語った答えはとてもシンプルだった
「家に帰って家族を大切にしてください」
「愛は身近なところから始まります」
そして、こんな奥深い言葉も・・・
「遠くにいる人を愛するのはたやすいことです。
 しかし、身近にいる人を愛するのは常に簡単であるとは限りません」

豊かな国といわれながらも、年間の自殺者が3万人を超える日本
被災地への思いを募金に託しつつ、なお落ち着かない心は
自分の身近にいる人へと転じていくのが良いのかもしれない

娘は先月、初めて学校から歌のボランティアで近所の病院へ行ったが
そこに集まったお年寄りの患者さんたちの反応を通して
音楽ではお腹はいっぱいにならないけれど
心が満たされる(癒される)ことは確かにあると
「音楽療法」の意味を実感した
近いうちにまた別の病院へ行く予定になっているとの事
今はまだ戸惑いつつも、こうして経験を重ねるうちには
自分がどうするべきか、そのうち大切なことがつかめてくるだろう
何をするにもとりあえず時間と経験が必要だ

この一年、音楽三昧の日々を過ごし
声も歌も表情も随分変わったことが、今日の発表会でもわかった
衣装は昨年作った黒ドレスが初披露
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今日は27回目の結婚記念日
毎年何も変わったこともなく過ごすのが慣例となっているこの日だが
今年はいつにも増して穏やかな日常をありがたく思う


(2011.3.20.記)



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