青春賛歌第二幕 18〜熱意と気負いと
先月、結婚式での務めを終えて
さあこれからは前期試験に向けて頑張らないと〜、と
気持ちを切り替えていた娘のところに
思いがけない話が飛び込んできた
いつものようにレッスンに行ったところ
先生から告げられたのは「テレビ取材」の話
地元TV局のドキュメンタリー番組で娘の通う大学が紹介されるにあたり
声楽の個人レッスン場面で娘が出ることになったというのだ
これには本人もうびっくり!
「嬉しいけど・・・どうしよう?!大丈夫かな、、、」
小心者の娘の心は、考えれば考えるほど不安でいっぱいになってくる
声楽の場合、一番心配なのは当日の体調不良だ
何しろ本人が楽器なのだから、体調不良=楽器の不良
プロはそこを上手くコントロールして当日一番良い状態に持っていくというが
そんな芸当は簡単に体得できるものでもない
娘の場合ここ一番という舞台経験もまだ少なくて
本来ならば次の照準は試験に合わせていくはずだったから
それまではまだ余裕もあると思っていた矢先のこと
でも、こんな機会は滅多にあるものではないし
とりあえずチャンスに恵まれたことに感謝して
前向きに取り組んでいくことにした
それから取材日までの約10日間は
毎日の練習はもちろんのこと
急いで美容院へ行き(結婚式前に行く予定が延び延びになっていた)
服装はどうしよう〜等、ビジュアル面でもあれこれ悩む日々・・
「今時のハイビジョンは細部まで映って怖いから、、、」と
当日は、珍しくコンシーラーまで使ってメイクした(笑)
テレビに出るのは娘だからわたしが緊張する必要はないのはわかっていても
やはりこういうことには親も緊張する
今回のことでもちろん本人も感じただろうけど
テレビに出るって想像以上に気を使い大変なこと
それは、一般人にはやはり「非日常」の世界だ
これが「日常」である人々は
一般人には想像できないほどのストレスを抱えているのだろうなあと
その一面をちょっとだけのぞいた気がする
さて、ドキドキの取材が終ったら、今度こそ試験モードへ突入するも
自分自身の調子がすでに一回好調のピークを超えていることから
もう一度安定したところへ持っていくのに手間取り、イライラがつのる、、
今回の試験にかける熱意は十分に持っていても
心の余裕とのバランスが取れていなくて
つい思いつめてしまうのが娘のいつもの癖だ
何事においても、熱心であることは良いことだし
目標に向けて頑張ることは素晴らしい
だけど、心の余裕がなく、気負いばかりが先行すると
持っている力さえも出せなくなるのがオチ
それどころか、とんでもない失敗をしてしまう恐れさえもある
そして、試験直前になってまさかの風邪〜?!
・・・とまあ、いっぱいいっぱいの状態ながら
試験日はあがることもなく落ち着いて歌えたとのことで良かった
ふり返ってみると
いつも本番前日まではいろんな問題があるけれど
当日はたいてい落ち着いている
”自分は一体何者なのか?”
冷静であればその答えを見失うことはなく
”自分はただの人間”とわかっていれば
ひどく気負うこともないわけだが
人を向上させる「熱意」と、自分を見失わせる「気負い」は
時に区別が難しい
この先も
毎月色んな舞台に出る機会に恵まれている娘
せっかく好きなことをやっているわけだし
”ただの人間”である気楽さを認識しつつ
ひとつひとつのチャンスを更に楽しんでいって欲しいと思う
一方、息子の方はというと
院試間近の4年生を尻目に、ただ今すっかり夏休みモード
(夏は苦手なので極力省エネする=別名さぼりモードともいう)
こちらは相変わらず気負いもなしのマイペースながら
このゆとりが功を奏したのか
先日は、昨年から続いていた実験機械の不具合の原因を
意外なところからつかんだとのこと
そう、思考に余裕がなくては”意外な発想”は生まれないし
目の前にあることでさえ見えていないこともある
さあ、あと2週間で9月だ
毎年9月になると息子は不思議なくらい気持ちが切り替わる
「一年中冬なら良いのに」という彼は
昨年は9月半ばにはもうコタツを出して、冬気分になっていたっけ(笑)
そんな兄とは反対に
娘は明日、小学校以来久しぶりにプールへ行き、夏を楽しむ
ただし、5日後には舞台があるから日焼けには要注意〜
<翌日追記>
今週いっぱいは当然お休みするであろうと思われた息子は
今朝、急に学校へと出かけて行った
そろそろ家に居るのも飽きてきたのか?
それともお盆休みで人の少ない大学がかえって活動しやすいのか?
何にしてもこの「きまぐれ出勤」ができるのも学生ならではのこと
気楽にできるところは気楽にする
これが自己コントロールの秘訣であることが
若い頃のわたしにはわからなかった、、、
*****
13日に放映された番組中の娘
取材時間は長くても、映るのは数秒だろうと思っていたが
実際には、個人レッスンとインタビューで1分あまり映っていた
名前にふり仮名までふってもらう丁寧な対応にも感謝
(2011.8.15.記)
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