青春賛歌第三幕 40〜広がる人脈


5月末に受けた『大学付属の室内合唱団』のオーディションに合格した娘は
6月半ばには練習に初めて参加し
その時、9月に高校で演奏する仕事ももらった
団員はほとんどが卒業生を中心とする社会人なので
すでに音楽でつながるネットワークをしっかり持つ人ばかりだ
学生枠の「研究生」として入団した娘にとっては
こうして色んなところに紹介してもらいながら
人脈を広げて行くチャンスに恵まれているのが非常に有難いと思う

この世界、仕事はほとんど「紹介」でやってくる
いつもお世話になっている植物園からは
8月に動物園でのコンサートを依頼されたし
ここでの評判が良ければまた次のチャンスにつながるだろう

また、6月20日には
地元のコミュニティ放送(FMラジオ)にも出演
将来的に地元での活動を希望している娘には
こういった地元密着型のメディアとのつながりは大切だ

この日の
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上記リンクページに記されているように
今回の出演は、昨年のコンクール1位〜自治体の表彰があったからで
(自治体の表彰の件は市の広報にも載った)
思えばあのコンクール以来、娘を取り巻く環境は随分変わった
本人は黙っていても
いつの間にか「1位」という肩書は一人歩きしていき
おかげで初めての場所でもどこでも好意的に迎えられ
自治体や教育関係、メディア関係、イベント関係など
多方面で活動する人々とのつながりができて
たくさんの名刺が手元に集まった

かつて”2位じゃダメなんですか?”というセリフが物議をかもしたけれど
決してダメじゃないし、十分素晴らしいことながら
1位と2位では、イメージも信用も待遇も随分違うという”現実”を
この半年余りの出来事を通して、本人も、わたしも知るに至る
(わたし自身は1位の経験が何もないから今までわからなかったけど)
特に一人しか選ばれないオーディションの場合は
2位であっても「本番に出られない」という現実は別の順位と何ら変わりはない
娘はそんな悔しさも体験しながら両者の意味を知ることになるのだった

色んなことを教えてくれた、娘にとって思い出のコンクールも
6月末から地区大会がスタートし、今年の戦いがすでに始まっている
娘の大学も会場の一つになっているので
参加する友人や後輩の応援に先日出かけたが
コンクール特有のあの悲喜こもごもの空気は何ともやるせない
そういえば昨年とある会場では
ライバルを威嚇して火花を散らしている人々もいたなあと懐かしく思い出す
できればもうあんな空気は味わいたくないものだと思いつつも
そこを通ることで得られるものも多くあることを思えば
避けてばかりもいられないのだろう

コンクールやオーディションは
今の自分の立ち位置を教えてくれるし
その現実を冷静に受け止めて行く訓練は人を強くする
娘自身も、ここまでトントン拍子で物事がうまく運んでいるようで
望んだものが得られなかった事も何度かあったけれど
”与えられないものは必要ないもの”として
気持ちを切り替えながら現在にいたっている

音楽大学といえば、優雅で華やかなイメージがある一方
現実の学生生活は
最低でも週に一度は、コワイ先生に怒られながらのレッスンがあるため
それに向けて毎日辛くても練習しなくてはならないし
その上、いくら頑張っても成果が出るとはかぎらない
時には納得いかない判定に涙することはあっても
とにかくあきらめて前を向くしかないわけで
優劣の順位がはっきりつく芸事の世界は何かと厳しい
そんな過酷な4年間を過ごす音大生の強みは
就職担当の先生の言葉を借りれば
誰よりも「打たれ強い」ことなのだそうだ

ひと時の華やかな舞台とは裏腹に
娘は大学院に入ってからもずっと「呼吸と発声」の地味な基礎訓練を続け
どんな大きなホールにも対応できるよう備えている
今後はオペラの舞台もあるようだし
明日からは初めてのミュージカル団体に臨時参加しに行く予定だ
そこでまた新しい人脈も広がっていくのだろう

今、元は生垣だった小さな畑に小玉スイカが育っている
せっかくの実が落ちないように、あちこちで支えられながら生長中だ
色んな波風にもまれつつ
娘もこんな風に支えられながらスクスク育っている



(2014.7.3.記)



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