音楽と共に生きる 33〜恩師に会う


先週末、娘は初めてマルチェッラ・レアーレ先生のレッスンを受けるために上京し
翌日には、現在は東京にお住まいの名誉教授のベル先生に会ってきた

今回のレッスンには
大学で6年間お世話になってきた桂先生が同行して通訳もして下さり
娘自身も英語とイタリア語を何とかギリギリ聞きとりながら初レッスンは進んだが
声質と、歌う時の笑顔をとても気に入ってもらい
それが舞台上でもっと映えるように「動き」についての指導が主になった
その中では、いつものまとめ髪を見て「髪をおろしなさい」と言われ
髪の毛を使った表現方法も教わるなど
来月の修了演奏会に向けて、今までと一味違った舞台を見せるコツが
色々提示されていく贅沢な時間となったようだ

ちなみに「笑顔で歌う」指導は入学当初から受けてきたので
娘にとってはこれはもう自然なことになっているが
難しい曲や高音域を歌うほど苦しい顔になる人が多い中で
ここをクリアできているのはとても大切なことらしい
もし6年間きびしい顔をして歌うのが癖になっていたら
それを今さら変えろと言われても困難なことだろう

というわけで
娘が今こうしてレアーレ先生から「pretty!」と言われる笑顔で歌えるのは
桂先生から教わった呼吸と発声法のおかげなわけだが
その桂先生の恩師であるベル先生からの直接の厳しい指導を受けることができたのは
大きなチャンスだったと改めて思う

娘がまだ入学したばかりの頃にベル先生のレッスンを受けた時の衝撃は
当時の記事にも残しているように忘れ難いものだった
(その記事はこちら
娘は負けず嫌いの性格だから、叱られて泣いて帰るようなことはなく
反対にますます燃えるようなところがあるのだけど
その後、先生が広島におられる間は、何度もレッスンに通い
成長した姿を見てもらうチャンスの卒業演奏会に選ばれた頃には
ベル先生はもう高齢のために東京に移ってしまった後だった

あれから一度も会えないままだった先生は
すでに90歳を過ぎ、耳はかなり遠くなってしまっている
それでも東京でまだ指導を続けていけるのは
先生には「呼吸が見える」かららしい

実際に、娘が久しぶりに会って第一声を発しようとした瞬間
先生はいつもの独特の手の動きと共に「息をしなさい!」と注意した
先生にとって、歌も会話もすべては呼吸から始まる
そして歌う時の笑顔を毎回厳しく指導するのも特徴だ
そんな先生ご自身は、あふれんばかりの笑顔を絶やさない



現在、娘のプロフィールには2名の恩師の名前が記されている
そこにベル先生の名前も書いていいのではないかと思うほどお世話になってきたとはいえ
門下生であったわけではないため遠慮しているのが現状だ
それでも、生れてくるのがもう少し遅かったら
先生との出会いはなかった事を思うと
これを奇跡と感謝せずにはいられない


(2015.12.12.記)



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