音楽と共に生きる 14〜オペラデビュー


21、22日の2日間にわたり行われたオペラ『椿姫』の公演に
娘は21日には合唱隊の一員として
22日にはキャストとして出演し
無事にオペラデビューを果たすことができた

この日を迎えるまでの一週間は毎日が緊張の連続で
ストレスによる体調不良が今回は「歯が浮く」という形で現れたが
この症状は歯根膜の血行不良によって起こるらしい
それを夫が何度かツボをマッサージするなどしてサポートしながら
ギリギリのところで乗り越えていく

華やかな舞台の裏には
いつもたくさんの苦悩と苦労がつきものだ
大学以外のオペラの舞台に慣れていない娘は
初めのうちはつい目が泳いだり、意味のない手の動きをしてしまい
ひとつひとつの細かい動きを厳しくチェックされた
それを翌日には完全に直し、更に自分なりに工夫もして
演出家が求める形になるように必死で努めていくうち
だんだんダメ出しされることが減っていくのは嬉しかった

主人公ヴィオレッタに仕える立場であるアンニーナの立ち位置をわきまえ
常に一歩引いて決して目立たず
それでいて
死にゆくヴィオレッタへの愛があふれる優しいアンニーナとして
まるで姉妹のようにふるまう・・
そんな第3幕での二人の演技は最終的にすんなりOKが出て
これならいける!という自信につながっていくのだった

娘にとって今回の経験は
「すごく厳しかった!でもやって良かった!!」と思えるものとなり
今後の舞台に役立つ情報もたくさんたくさん得たので
さっそく5月に行われる同期生が中心になったミュージカルでは
自らが舞台監督になって今回の経験を生かすつもりらしい

芸事の世界は一夜にして成らず
「できません」と言ったらそこでおしまいだ
どんなに否定されてもヤケにならず
厳しい現実を素直に自分の姿として受け入れ
そこから何を学ばなければならないのかを冷静に判断する
それはもう「忍耐」の連続だが
「忍耐」は「がまん」とは違うので
ただ嵐が過ぎ去るのをじっと待っていたのでは自分が変わることはできない
つまり、常に相手の意図をつかむために「聞く耳」をもっておくことが重要だ
相手の言うことが自分の考えと違っていても
理不尽と思えることがあったとしても
その厳しさの中には意味があることを悟れるように
それが自身の成長につながるように
心の柔軟性は欠かせない
幸いまだ年若い娘には変なプライドがないので
指摘されることを恐れないし
失敗してもすぐに謝ることもできる
こうして気持ちを切り替えて、必死で食いついて
またダメ出しされて、、
それでも少しずつ確実に良くなって
やがて誉めてもらえる場面も出てきた
そんな毎日の戦いの様子を聞きながら
これがプロの世界なんだなと、わたしも実感するのだった

22日の舞台を見に行ったわたしは
娘が出る場面を、(緊張のあまり)こぶしを握りしめて見ていた
そんなわたしの心配をよそに
娘は無駄のない動きと軽やかな所作で演技し
落ち着いていつもの声を響かせる
物語が終わり、最後のカーテンコールでは
キャストはひとりずつ登場して拍手を受けた
娘も胸に手を当てて丁寧にお辞儀をしていたが
1000人もの観客が自分ひとりのために拍手をしてくれるという経験は
それまでのすべての苦労を吹き飛ばし
またやりたいという気持ちにさせるのだと
後で先輩たちから言われたという
そう、これはもう中毒になるらしい、、
で、やりたいと思うのかと娘に問うと
「正直なところ今はまだ何も考えられない」と答えた
それだけ練習が過酷だったということだろうけど
まだ月末にもうひとつ本番があるので
それが終わって一段落すれば、改めて何か思うのかもしれない

この日はデビュー公演ということで
抱えきれないほどの花や贈り物が届けられた(感謝!)
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こうして本番が無事に終わった翌日には
月末にある次の本番の宣伝のため地元のFMはつかいちラジオに出演

この日の記事はこちら

これは大学付属合唱団の定期演奏会だが
メンバーのうち娘が一番スタジオに近い場所に住んでいるので
行って来いということになったのだろう
この演奏会の日には
8月に録音したCDが先行発売される
その中には娘のソロパートもあるので聞くのが楽しみだ


(2015.3.26.記)



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