無農薬無肥料栽培への道14〜土ごと発酵 (1月24日)

「土ごと発酵」という言葉をはじめて聞いたのは2003年のことだった
この言葉は、『現代農業2000年10月号』で使われたのがはじまりで
今は広く使われるようになったものだが
今回、わたしが唯一購入した『現代農業2004年10月号』を引っ張り出して
”土ごと発酵特集”を読み返してみた

この号には
今わたしが目指している炭素循環農法についての記事も数ページ載っているけれど
当時はきっと意味がわからず放置していたのだろう
読んだ覚えがなかった

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さて、「土ごと発酵」の意味については次のように記されている

  
”未熟な有機物を、土の表面・表層に施用し
  発酵によって土の団粒化をはかる方法”

そして、この未熟な有機物については
まず微生物が食いつきやすい米ぬかが使われることが多い
こうして土に生の米ぬかをまくことで土壌微生物が増えるらしいとの情報を頼りに
2003年からわたしの米ぬかまきは始まった

更に当時のわたしは生ごみ堆肥作りに熱心に取り組んでおり
同時に落ち葉や剪定枝堆肥作りもやっていた
目指すのは、微生物による発酵がしっかり進んだ完熟の堆肥
完熟でなければ土に入れてはいけないというのが常識だったため
いかに順調に発酵を進めるか、そのために混ぜたり水分調整したり
随分苦心したものだ

このように、完熟にこだわる一方で
わたしにはかねてよりひとつの疑問があった
それは、まだわたしが幼かった頃
母が庭に花や野菜を植えていて、それらを育てる際に肥料は使わず
まわりの土を掘って生ごみを直接埋めていただけという事実
それで植物はどれも十分立派に育っていたというのだ

こんなに一生懸命生ごみ堆肥を作っているというのに
生ごみ直埋めの方が効果があるなんてちょっと割が合わないなあ〜と思い
庭の一部に直埋め場所も作って実験してみることにしたが
米ぬかはバサバサまくわ〜、自家製堆肥は入れるわ〜、自家製発酵肥料も入れるわ〜
その上、生ごみの直埋めまでやって
そのうち、土の状態は当初の目論見からだんだん離れ、明らかに腐敗していった

今、わたしはあの頃の何が間違っていたのだろうと日々考えている
そして、一番間違っていた根本原因を今回この本の中で見つけたのだ

  ”完熟堆肥では土ごと発酵しにくいという
  高温発酵させよく完熟させた堆肥は肥料的な効果は高いが
  高温発酵した分、有機物のエネルギーが失われ
  すぐエサになる有機物が少ないので
  土の微生物を活性化する力が弱いのである
  微生物のエサなら、有機物は未熟ないし中熟のほうがいい”


完熟堆肥は、たちまち土の物理性(排水性や保水性)を改善するには都合がよく
従来農法では、完熟堆肥と肥料を組み合わせるのが常識だ
ところが、わたしの目指している自然栽培(お手本は山の草木)においては
自然に落ちた枝葉、倒れた木、下草などが土の上で自然に発酵する「土ごと発酵」が行われている
外で完熟させたものを持ち込むわけでもなく、肥料も入れない点が
従来農法とは全く違うやり方なのに
自己流であれもこれもちゃんぽんにしているのがまずかった

今思えば、昔、母が生ごみを直埋めしていた頃(約45年前)は
現在のように様々な種類の食物がある時代ではないし
毎日出る生ごみの量そのものも少なくて
その未熟な有機物を少しずつ土に埋めていったことが
微生物を増やし、養い続けるのにちょうど良かったのではないか
そうか、母はきっとあの頃何も知らずに土ごと発酵をやっていたのだなと気がついた

では、わたしがこの前までやってきたことについて考えてみよう
何でもかんでも土に入れて腐敗させてしまってからは
一種の有機物恐怖症になって
とにかく土をきれいにきれいに・・・と
土の上には何もないように、剪定枝も葉っぱも米ぬかも置かなくなった
雑草ももちろん抜いてきたし
バラの株元に草花があるとそちらに養分を奪われてはいけないと思い
バラ鉢には他の植物をほとんど混植しなかった
そして、土がきれいになるように、余分なものを吸い上げるべく植えた麦は
大きくなった時点で抜いてしまい
それを緑肥として土に戻すこともしなかった

そして、一方では
土壌微生物を増やすぞ!と意気込んで
ひんぱんにワイン酵母発酵液や、EM菌発酵液をまいていたわけだが
せっかく投入されたそれらの微生物も
土がきれいすぎて有機物(エサ)もないため、期待したようには増えなかったらしい
よって、微生物が植物に必要な養分を供給してくれる自然の循環ができず
時々まく化成肥料を発酵させた液肥の養分に頼ることとなったのだろう
これでは、自然栽培ではなく
従来農法と何も変わらない

あ〜あ、そういうことだったのか、、、と
納得して、思わずため息が出る・・・はぁ〜--;

でも、こうして長年の疑問が解けて
これからの方針がはっきりしてきたのは実に良かった
やることはひとつ

  微生物のエサを投入し続けること!

これに尽きる

微生物のエサとしての有機物の与え方については
まず、起爆剤として米ぬかをまく
それで増えた微生物がずっと食べ続けることができるように
生の緑肥や雑草、剪定枝など何でも身近にあるものを土にすきこむかマルチする

  ”土を団粒化させるためには
   微生物が食いつきやすいものと、食いつきにくいものがどちらもほしい”


2003年当時
もし、米ぬかまきと、剪定枝マルチと、生ごみ直埋めだけを実践していたら
土ごと発酵も随分進んでいたのだろう

単に植物を育てるという目的ならば
従来農法だろうが、自然栽培だろうが
どちらが正しくどちらが間違いとはいえないと思うが
ある意味、真っ向から対立するこの両者のまぜこぜは
どちらか一方を選ぶよりも結果が悪い

今回改めて気づいたのは
炭素循環農法の原理はまさしく土ごと発酵と同じだということ
今は土にマルチする有機物も庭になく
これ以上の作業はできないけれど
春になったら雑草の茂る空き地に行って
マルチ材料を集めてこよう




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