無農薬無肥料栽培への道32〜わたしが発酵肥料に挫折した訳 2 (6月22日)

初めて発酵肥料を作り、バラや野菜に使ってみた2003年
あの年は冷夏で、だからバラも調子悪いのだろうと当時は思っていた
一方、野菜の方は
2001年に改築工事をした関係で入れてもらっていた山土を利用して
2002年の夏からトマトやナスを、油かす・骨粉で栽培
続いて秋にはその土を利用してブロッコリーを育てた後
2003年からは発酵肥料を使うようになったが
その年は、夏野菜も普通にでき
ブロッコリーや芽キャベツにいたっては素晴らしく大きく育って
発酵肥料は実に素晴らしいと喜んだものだ

(2003年当時の野菜画像)
mekyabetsu2003.jpg nasutop2003.jpg tomato2003.jpg

そして、2004年以降、だんだん行き詰っていく様子は
『無農薬無肥料栽培への道 2〜足し算の時代』に記したとおりだが
土の腐敗について考えるまでには、まだ少し時間と経験が必要だった

2003年に素晴らしくできた芽キャベツは
翌年は収穫量が半分に減り、その翌年からはついに育たなくなる
ブロッコリーも、何とか収穫はあるもののパッとしない状況が続く
どうしてできなくなったのだろう?
いや、むしろどうして以前はできたのだろう??
そう考えるうち、ひとつの答えに近づいてきた

2002年の夏野菜はまず新しい土ではじめたわけだから
きれいな土に肥料を投入すればそれなりに育つのは普通のこと
その時には素人考えで、油かすや骨粉をたくさん入れたので
トマトは葉っぱばかりが大きくなり、実はあまりつかなかった
そのトマトの土を今度はブロッコリー栽培に使用する
すると、トマトの時に大量に投入した有機肥料が分解し効果を発揮したのだろう
ブロッコリーは普通に収穫ができた
そして、そのブロッコリーの土を翌年またトマトに使いまわす
この時には土はすっかり肥料の多い状態になっていて
でも、そこに投入したのが、(養分が少ない)自家製発酵肥料だったために
結果的には肥料過多にはならず、実もたくさん生ったのだと思われる
更にトマトの後はまたブロッコリーと芽キャベツだ
この時が土の養分バランスが一番良いピークだったのだろう

わたしが最初につくった発酵肥料には化学肥料を混ぜておらず
肥料としての効果は薄いものだったと今は思う
(当時はそんなことはないと信じていたけれど)
要するに、効かない肥料を入れていたおかげで
前に入れた有機肥料の分解物とのバランスが偶然とれていたらしい

だが、その後は発酵肥料にチッソ分の多い油かすや魚粉、更には化学肥料も入れるようになって
肥料効果をもっと期待する方向へとシフトするにつれ
チッソ過剰の土には目に見えないところで異変が起こってくる
土の腐敗現象だ

当時のわたしは
発酵肥料=善玉菌の塊だから
それを土に入れれば都合の良い菌だけがそこで繁殖するような気がしていた
この時点ではまだ
土壌中にも空気中にも”雑多な”菌が存在するという現実がまだピンときていない

わたしにとって、発酵肥料を使う目的は
作物の生長に必要な養分を補う他に
肥料そのものが微生物資材として、”土をまるごと発酵”させてくれることにもあった
発酵菌が土壌中に増えることで、腐敗や病気を招く菌を抑えることができるなら
無農薬栽培はかなり容易いものになる

   「発酵肥料は生きている微生物肥料だ
   この微生物が土中で繁殖することによって、養分供給を調整してくれたり
   根に有機栄養、とくに吸収しにくいミネラル分を供給したり
   有害微生物から根を守ってくれたりする」(『発酵肥料で健康菜園』より)


しかし、仮に、わたしの作った発酵肥料が成功し上等なものだったとしても
発酵肥料の中に、こうじ菌・納豆菌・乳酸菌・酵母菌の
たった4種類の微生物しか存在しないわけではない
それを更に雑多な菌が存在する古い土に入れるのだ
そして、今まで乾燥物だった肥料に水が加わると
乾燥下では静かにしていた微生物たちが動き始めるが
そこではどんな菌が一番に目覚めるのだろうか?

これについては、通常は酵母菌であることが薄上氏の本には記されている
しかし、酵母菌が目覚める前に別の菌、それも腐敗させる類の菌が増殖したら大変だ
そうならないために、裏技として
発酵肥料を液肥にする際には、酵母菌(ドライイースト)も同時に入れて
発酵肥料中の酵母菌がスムーズに増殖するよう補助する方法もあるとどこかで読んだ
(発酵肥料作りの本の中だと記憶していたが、今探しても見つからない・・)

この裏技を知ってからは、液肥にする時には常にこの方法を実践していたが
発酵肥料をそのまま土に入れる際には特に何も操作はしなかった
しかも、養分の供給も重要な目的としていたので
NPK比で換算しては、随分たくさん入れていたものだ
もし、その土が新しいものだったら、あるいは酵母菌から順に増殖したのかもしれない
ところが当時の土はチッソ過多で
チッソ分の多い有機物に増殖する細菌(バクテリア)が相当いたものと思われる
細菌でも、納豆菌のような発酵菌なら歓迎だが
残念ながらその後、病気や腐敗を起こす細菌の方が増えてしまったようだ

有機物過多(チッソ過多)による土の腐敗については
今までも何度も何度も書いてきたけれど
現在はやっとこうして色んな草花が再び育つようになった花壇でも
まだ部分的には腐敗が残っていて
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このオレガノの葉みたいに
虫の食害(病気も?!)で汚くなっているものもある
oregano2011622.jpg

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ハーブ類には土の腐敗が顕著に現れる
こちらの花壇ではやっとオレガノがきれいに育つようになった
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タイムも
roadg2011622-2.jpg

また、山野草も土がきれいでないと育たない
ここも数年前は本当にひどい状態だったところだ
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では、今こうして土がきれいになってきたところで
発酵肥料を使えばどうなるのだろう?
それは、都合の良い環境要因がそろえば良い結果も生み出されると思うけれど
そこには、その環境要因
つまりはその地域特有の気候風土の問題が大きく立ちはだかる

薄上氏が発酵肥料作りを行ってきた地は福島県で
ここ広島県とでは気候風土は多分相当違っているだろう
いや、広島でさえ、山間部と沿岸部の気候は驚くほど違っているのだから
同じ材料で発酵肥料を作ったとしても出来た物は別物だろうし
福島県で作った発酵肥料をこちらに持ち込んだとしても
それを土に入れた時にどう反応するかは未知数だ
だいたいその地域によって住んでいる土着菌も違う
発酵肥料に用いる材料と土着菌との相性によっても
土壌を発酵させるか腐敗させるかが分かれてくると思う

今となっては不思議に思うが
わたしは最初、発酵肥料は日本全国どこでも同じものができるような気がしていた
だからこそ、同じ効果をも期待したのだ
それでも
発酵肥料の理念そのものは、本を読み返すたびに納得するものがある
ただ、もし今年発酵肥料を使っていたなら
5月から早々に入梅した上、毎日降り続く雨で発酵肥料が水浸しになって
これがまだこの先当分続くとして
一体、土がどうなって行っただろうか・・・と考えてしまう、、、



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