無農薬無肥料栽培への道33〜わたしが発酵肥料に挫折した訳 3 (6月24日)

「生きている微生物肥料」としての発酵肥料は
それをただ土に投入しただけでは十分な効力を発揮しない
微生物は非常に寿命が短く、その一生は20〜30分
そんな微生物が次々増殖して常に土の中にたくさん存在するためには
それ相応のエサが必要だ
薄上氏は本の中でそのことを以下のように記している

   「発酵肥料栽培では、微生物の住みかやエネルギー源となる堆肥を
   併用することが大切な条件だ
   堆肥は微生物のエサになりまた適度な水分や空気やPHを保つ
   格好の住み家になる」

   「このように畑を一つの発酵場と考えて、畑の微生物の活力を高めていくことが
   発酵肥料の施し方の基本である」 

   「発酵肥料を利用している人に必ずすすめているのが
   青刈り麦の栽培です
   このねらいは、春先に青刈り麦を生のままですき込んでも
   完熟堆肥と同じ効果があることと
   麦の根の先端、芽の先端には植物活性酵素がたくさん含まれているからです」


他にも、発酵肥料を、未熟・中熟・完熟と3種類を混ぜて投入し
常に微生物のエサがある状態にする方法も述べている

このように、生きた微生物肥料である発酵肥料には
その後も常にエサが必要であり
土の中で微生物を飼うのだという感覚が必要になるわけだが
当時のわたしにはこの辺のことがよくわかっていなかった

だが、今はその重要性がとてもよくわかる
なぜなら、無肥料での栽培方法として参考にしている炭素循環農法が
常にエサを入れて微生物を飼う方法だからだ
今年はずっとエサの心配ばかりしてきたので
もうすっかりエサの重要性は頭に叩き込まれた感じ

思えばここ数年の間に色々な微生物資材が売られるようになったが
こういう特殊な菌を土に入れた後
もし彼らを”飼う”という感覚がなかったら
せっかく入れた菌もすぐにいなくなって
ずっと足し続けなくてはならなくなるだろう

わたしは素人の思いつきで
これまでワイン酵母発酵液なるものを作ってまいたりしてきたけれど
特に近年は土に有機物を入れることを(腐敗を恐れて)避けていたので
微生物にとってもエサがろくすっぽない状況だったわけだ

今回、発酵肥料についての本を読み返しながら
わたしがもう発酵肥料には戻らないであろう根拠がはっきりしてくる
薄上氏が述べているように
わたしも、畑を一つの発酵場と考えて、「土ごと発酵」させたい
ただわたしの場合は、腐敗を招かない原材料を直接土に入れての発酵を目指しているため
肥料や堆肥を別の場所で作ってから土に入れることはしないということ
決して発酵肥料を否定しているわけではなく
わたしの庭に最も適した方法での土ごと発酵を模索しているということだ

広島県東部のとあるバラ園でも、有機物の腐敗を懸念して
腐らない配合土とわずかな化学肥料を用い
あとは剪定を最低限にした光合成主体の栽培が推奨されているように
地域によって、そこに適した方法をそれぞれが探していく
それが園芸の醍醐味だと思う

わたしが今後、バラの無肥料栽培で行き詰ったら(野菜は別として)
その時使用する肥料は、たぶん(少量の)化学肥料になるだろう
(ただし、化学肥料に依存する形はとらず、あくまでも一時しのぎ程度としてだが)
わたしはこれまでも「オーガニック栽培」というものをやってきたわけではなく
化学肥料も発酵肥料に入れたり、はたまた化学肥料そのものを発酵液に漬けてみたりと
色々な形で利用してきた

  注)オーガニックとは有機栽培の意味で
    化学合成農薬や化学肥料に頼らず、有機肥料などにより
    土壌の持つ力を活かして栽培する農法のこと

薄上氏が提唱するように、発酵肥料作りにおいて
無機である化学肥料も土壌微生物によって有機化されるとしたら
土ごと発酵でも同じ事が期待できるかもしれないし
化学肥料は土を腐らせない分、バラが枯れることもほとんどないのではないかと思う

実際に、自家製発酵肥料主体でやっていた頃は
枝が黄色くなって枯れていく「枝枯れ病」でたくさんのバラを枯らしてしまった
無肥料栽培をやっている今でさえ、生長はいまひとつでも枯れそうにはないので
有機物による腐敗を、わたしは最も危険視するのだ

なお、「枝枯れ病」というのは病名ではなく症状名であること
枝を枯らす病気は一つではなく
これらの病気の原因は、環境的、人為的なものが多いのだと
以前プロの方から教えていただいたことがある
環境的と人為的その両方が、なるほど当時はそろっていたなと今つくづく思う

以上、発酵肥料についてのわたしの経験に基づく考察をまとめてみた
あらためて問題を整理し、反省点を明確にしていくと、今後の道筋も見えてくる
思えば昔は、「人間主導」の自然栽培をやろうとしていたけれど
やはり自然は「自然主導」なのだと
当たり前のことを実感する今日この頃だ

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頂き物のフロックスがすくすく育っている
ここは毎年ダリアにウドンコ病が出る場所で
ウドンコ病が特にひどいと言われるフロックスはどうなるだろうと心配したが
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今のところどちらもきれいな状態だ
これほど湿度の高い状況が続いていてもでないのだから
多分これからも大丈夫だろう
今年はここだけでなく別の場所にもウドンコ病は出ていない
これを見ても、病気と肥料はダイレクトに関係するのだろうなと思う
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ダリアに住み着いた子カマキリが
この夏、ここを虫の食害から守ってくれることだろう




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