無農薬無肥料栽培への道3〜引き算の時代へ (9月18日)

有機肥料信仰ともいうべく、有機物を絶対とした栽培方法で、土の腐敗を招いてしまった後は
とにかく肥料にしても堆肥にしても、腐る可能性のある有機物から距離を置くことで
事態を好転させようと考えた
迷子になった時には、やらたと歩き回ってはますます混乱するものだ
ここは一番シンプルな方法に戻ってみるのが良いのではないかと考え
2007年からは自家製発酵肥料の使用を一時停止
ホームセンターで売っている「野菜の肥料」と書いた単なる化成肥料を買ってきて使うことにした

<2007年>

・化成肥料と平行して、EM菌を米のとぎ汁で発酵させた液を使用した年
・施肥記録
   苗の生育状況を見ながら化成肥料を適宜使用
   週に一度、EM菌発酵液を500倍に薄めて散布

生育は順調で、一段に3〜4個の実がなった
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収穫量は前年よりアップし
尻腐れ病も出たものの、深刻な状態には至らなかった

だが、この当たり前な栽培ではあまりにも面白くない
もっと何かできることがあるはずだと思い
2008年には新しい試みを始めるぞと決意する

なお、古土のあつかいについては
この年から収穫を終えた土を干すのをやめて
EM菌発酵液をかけてすぐに黒ビニールに入れて保存する方法を採用したが
結局あまり効果を感じなかったので翌年には却下された

<2008年>

・コンテナをひっくり返さない栽培方法へと移行した年
・施肥記録
   化成肥料の8-8-8や10-10-10をEM菌発酵液に漬けておき
   溶け出した液を500倍以上に薄めて週一回ずつ散布

ブロッコリーの苗を抜いた後の鉢に、土をひっくり返すことなくトマト苗を植える
比較対象として土をひっくり返した鉢も作ったが
結果的には出来ばえは変わらなかった
ならば今後はどの鉢もひっくり返さず次の作物を育ててみることにしよう
長年夢見た「ひっくり返さないコンテナ栽培」がついに実現する!(感激)

この年からは、古土の中の残留肥料を吸いだすために
苗と一緒に、土をきれいにするイネ科の麦や他の作物を混植する試みをはじめた
トマト苗の生育状況を見ながら
やがてイネ等は稲穂が見えてきた頃抜いてトマトだけにする
tomato2008-4.jpg

今回考案した即席化成発酵肥料は、使い方もわからないため
はじめ適当に散布していたが
少量でも効きすぎることがわかり、だんだんと使用量を減らしていく

それでも収穫量は伸びて
以前は5段目までしか収穫できなかったものが
それより上の段になっても大きな実がつくようになった
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また、この年から尻腐れ病が出なくなったのは特筆すべき点だ

<2009年>

・EM菌の代わりにワイン酵母発酵液を作るようになった年
・施肥記録
   化成肥料10-10-10を
   米のとぎ汁にワインと黒砂糖を入れて一週間発酵させたものに漬けておき
   溶け出した液肥を500倍以上に薄めて使用
   他にも、過リン酸石灰やヨウリンをワイン酵母発酵液に漬けたものも適宜使用する

まず前年同様、残留肥料を抜くために、トマト苗と一緒に麦や雑草を混植
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その後は、ごく薄い液肥を与えて管理
葉っぱの大きさもちょうどよく、実つきも良い
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6〜7段目が色づいている
最高10段目まで実がなった
saturn2009-3.jpg


収穫量の集計結果によると
1本あたりの平均収量は3キロで、7段目までは収穫できた
8月はじめまで梅雨が明けない日照不足の年でありながら
病気にもならず、虫の被害もほとんど出ることなくこの収穫量はかなり優秀だと思う

量だけ比較すれば2004年の3.5キロには及ばなかったが
今年の実は最後までほとんどきれいな状態で収穫できたので
実質的には今回の方がずっと出来が良かったといえる

今回、春先に即席化成発酵肥料を仕込む際
使用した化成肥料は2キロほど
これを約80の鉢に分けて使用したので
単純に使用量を算出すれば一鉢あたり25グラムになる
これは、本に載っているコンテナ栽培におけるトマトの標準施肥量40グラムに比べると少ないが
そこまで厳密に計量しているわけではないため
実際の使用量はもう少し多いかもしれない
ただし、通常の施肥は肥料をそのまま固形で使うものだが
うちではかなり薄めた液肥として使っており
鉢底から相当の肥料分が流失していると思われる
しかも、夏場は朝晩2回念入りに水やりをするので
更に肥料分は洗い流されているだろう
ならば実質的にどれほどの肥料を施したことになるのか?
うーん、だんだんわからなくなってきた、、、

それと、化成肥料をEM菌やワイン酵母発酵液で発酵させている時点で
出来上がったものの成分は元の化成肥料のままではないはず
その証拠に、この肥料は少量で作物を徒長させるのだから
これはもはや肥料というよりも、植物活力剤のようなものに化けているのではないかと
わたしは勝手に推測している

もしかすると、この活力剤を使う方法で
もっと施肥量を減らしても栽培できるかもしれない
実際に、今年の枝豆はたまにワイン酵母発酵液をまくだけで収穫できた
そして、施肥量が少ないほど苗は病気にならず虫もつかない
また、今年のナスは実の切り口が真っ白でアクが出てこなかったし
収穫後、実験的に数日間放置した野菜は腐ることなく干からびていった
更に、常識的には連作できないはずのトマトやナスなども当たり前のように連作してできており
これらは無肥料栽培でできた野菜の特徴だといわれている
(市販のキュウリを冷蔵庫に入れて放置しているとズルズルに腐ってくるのが常)

思えばここ2年というもの
土の残留肥料分を抜く努力をしながら
新たな肥料を施すのは最低限にとどめておくよう配慮してきた
ここへきて、夢物語と思ってきた無肥料栽培への道が少し見えてきた気がする

無肥料栽培について紹介したサイトはこちら

これでもかというほど生っているミニトマト”アイコ”
aiko_sasime2009909.jpg



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